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特許実用新案の違い

特許実用新案の違い|中川特許事務所|東京・神奈川・横浜の考案・技術・アイデアの実用新案登録をするための特許庁への手続の代行、実用新案権に関する調査および管理、契約仲介、紛争解決、輸入差止を代行する神奈川県横浜市の弁理士事務所

特許事務所は、考案・技術・アイデアに関する実用新案出願・申請から実用新案権の登録・取得までの特許庁における手続を代理・代行する弁理士事務所です。当特許事務所は、実用新案登録に関する業務として、発明調査・権利管理・契約仲介・侵害鑑定・紛争解決・輸入差止・相談業務も実施しています。実用新案につきお気軽にご相談・お問い合わせください。

特許と実用新案の保護対象の違い

特許制度」は「発明」を保護する制度であるのに対し、「実用新案制度」は「考案」を保護する制度です。発明も考案も「技術的なアイデア」という点では共通しています。しかし、特許権を取得できる発明と実用新案権を取得できる考案とでは、以下の3点で大きく異なります

第1の違いは「高度性の有無」です。特許法は発明に高度の技術性を備えていることを要求しますが、実用新案法は考案に高度の技術性を備えていることを要求しません。つまり、特許庁で実用新案登録を行う際、その技術に高度性は要求されないのです。

第2の違いは「物品性の有無」です。特許制度が保護する発明には、爪先の布地を二重にして爪先を破けにくくした新型靴下Aといった物の発明、新型靴下Aの縫い合わせを検査する方法Bといった単純方法の発明、新型靴下Aの縫製方法Cといった生産方法の発明という3種類の発明があります。

このように、特許実用新案のように物品に関する技術でなければならないという要件がありませんので、物の発明以外の単純方法や生産方法に関する発明も、特許権を取得することができるのです。

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これに対し、実用新案制度では、片方が失くならないようにお互いをくっつけるために磁石を取り付けたヘアピンといった物品に関する考案でなければ、特許庁で実用新案登録を行うことができません。このようなヘアピンの検査方法のような単純方法に関する技術やヘアピンの製造方法のような生産方法に関する技術は、実用新案制度では保護されないため、特許制度によってのみ保護されます。

また、物品の形状・構造・組み合わせに関する考案でなければ実用新案登録を行うことができません。例えば、新規な薬品の化学構造に関するアイデアといった一定の形態を備えていない考案も、実用新案権を取得することができないため、特許出願を行わなければなりません。

第3の違いは「進歩性のレベル」です。特許権も実用新案権も、その発明や考案がその分野の技術者にとって従来技術から簡単に思い付くことができないものであるという進歩性を備えていないと取得できません。

しかし、実用新案における進歩性のレベルは、特許における進歩性より低いレベルでよいとされています。つまり、その分野の技術者が従来技術から極めて簡単に思い付くことができなければ、実用新案権を取得できます。

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特許と実用新案にこのような違いが設けられているのは、同じように技術的なアイデアを保護する制度であっても、特許が高度の技術を保護するための制度であるのに対し、実用新案は身近なレベルの技術を保護するための制度であるという特許法と実用新案法の役割分担を図るためです。

特許権を取得できる発明についての詳しいご説明につきましては「特許が保護する発明」をあわせてご覧ください。また、実用新案権を取得できる考案についての詳しいご説明につきましては「実用新案の保護対象」をあわせてご覧ください。

特許と実用新案の保護対象の違い
比較対象 特許(発明) 実用新案(考案)
高度性 必要 不要
物品性 不要 必要
進歩性 高レベル 低レベル

特許と実用新案の手続費用の違い

特許法実用新案法も「方式主義」という考え方を採っているため、特許庁に対し出願を行わなければ特許権実用新案権を取得することができません。また、双方とも「書面主義」という考え方を採っているため、特許庁に対する手続は原則として書面で行わなければなりません。そして、双方とも出願書類が様式に沿っているか否かといった方式要件について審査を行う「方式審査」が行われます。

しかし、特許権を取得するためには、特許出願を行った発明が産業上利用性・新規性・進歩性といった実体要件を満たしているか否かについて、特許庁の審査官による「実体審査」をクリアする必要があります。

これに対し、実用新案権の取得には、出願された考案が偽札製造機といった社会秩序を害するおそれがある考案に当たるか否かといった基礎的要件について特許庁が審査する「基礎的要件審査」のみが行われます。つまり、実用新案法には特許法におけるような実体審査は行われません

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よって、実体審査がある特許の場合、特許庁に実体審査を行うように求める出願審査請求を行ってから審査の結果が得られるまでに約10ヶ月かかります。これに対し、実体審査がない実用新案の場合、特許庁に出願を行ってから約2ヶ月で実用新案権を取得することができます。

また、特許権を取得するためには、上記の実体審査を受けるための出願審査請求料を特許庁に支払う必要があります。一方、実用新案登録には実体審査がないので、実用新案権を取得するために出願審査請求料を特許庁に支払う必要はありません。

よって、特許制度と実用新案制度を比較すると、特許よりも実用新案の方が早期かつ低コストで権利を取得することができます。よって、実用新案制度は早期に製品化する予定のある身近な技術を保護するのに向いています。

ただし、特許法にも、個人や中小企業による出願あるいは一定の技術分野の出願について、上記の出願審査請求料をはじめとする官公庁費用を減額・免除したり、早期に実体審査を行ったりする制度があります。よって、常に実用新案登録の方が早期かつ低コストであるというわけではありません。

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特許権を取得するために必要な手続や費用の詳しいご説明につきましては「特許取得までの手続」および「特許出願の費用料金」をご覧ください。また、実用新案権を取得するために必要な手続や費用の詳しいご説明につきましては「実用新案登録の手続」および「実用新案の費用料金」をご覧ください。

特許と実用新案の手続費用の違い
比較対象 特許(発明) 実用新案(考案)
実体審査 あり なし
手続費用 高額 低額
手続期間 長期 短期

特許と実用新案の権利内容の違い

特許権実用新案権も、自社が権利を取得した発明考案を独占的に実施することができるという点では同じです。しかし、特許権と実用新案権とでは、その内容において以下の3点で大きく異なります

第1の違いは「権利行使の制限」です。上記のように、特許権は特許庁による実体審査をクリアした上で発生する権利です。よって、自社が特許を取得した発明を他社が無断で実施していれば、直ちに自社の特許権を行使して、他社による発明の実施を止めさせることができます。

これに対し、実用新案権は特許庁による実体審査をクリアしないで発生する権利ですから、自社が実用新案権を取得した考案を他社が無断で実施していたとしても、特許権のように、直ちに自社の実用新案権を行使して、他社による考案の実施を止めさせることができないのです。

自社の実用新案権を他社に行使するためには、「実用新案技術評価書」を示して警告しなければなりません。実用新案技術評価とは、実用新案権を取得した考案が、実用新案登録の要件を満たしている有効な権利であるか否かについて、特許庁が一種の鑑定を行うことです。

実用新案技術評価書の作成には、特許庁に官公庁費用(4万2千円+1千円×請求項の数)を支払う必要があるとともに、約2ヶ月の作成期間がかかります。つまり、実用新案権の行使には時間がかかるのです。

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第2の違いは「権利行使に伴う損害賠償責任」です。特許権の場合、自社の特許権を侵害しているとして損害賠償請求などの権利行使を行った後で、自らの特許が特許庁における特許無効審判によって無効になってしまっても、原則として、特許権者は権利行使について損害賠償責任を負うことはありません。これは、特許権が特許庁における実体審査を踏まえて発生する権利だからです。

これに対し、実用新案権は、特許庁における実体審査を踏まえずに発生する権利です。よって、実用新案権者は、自社の権利を行使する際に、慎重に判断してから実用新案権を行使することが求められるのです。

そのため、他社に権利行使を行った後で、自社の実用新案権が特許庁における無効審判において無効にされてしまった場合、原則として、実用新案権者は権利行使について損害賠償責任を負うことになります。

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第3の違いは「権利の保護期間」です。特許権は、原則として、特許庁に特許出願を行った日から20年間保護されます。これに対し、実用新案権は、特許庁に実用新案登録出願を行った日から10年間保護されます。つまり、特許権よりも実用新案権の方が権利の保護期間が短いのです。

このように実用新案権の保護期間が短い理由は、実用新案法の保護対象である考案が、上記の通り、そもそも身近なレベルの技術であるため、より高度な技術にすぐに追い越されてしまうためです。つまり、考案がそもそもライフサイクルの短い技術であるからです。

特許と実用新案の権利内容の違い
比較対象 特許(発明) 実用新案(考案)
権利行使の制限規定 なし あり
権利行使に伴う責任 なし あり
権利の保護期間 長期 短期

特許と実用新案の違いのまとめ

上記のように、特許法実用新案法発明考案といった技術を保護する法律であるという点では同じです。しかし、特許には実体審査がありますが、実用新案には実体審査がないという大きな違いがあります。そうすると、特許制度実用新案制度を比較した場合に、実用新案制度を利用するメリットとデメリットは、次のようにまとめることができます。

まず、実用新案制度を利用するメリットは、特許権を取得するよりも早期かつ低額な費用で実用新案権を取得できることです。一方、実用新案制度を利用するデメリットは、実用新案権を取得したとしても、その権利が無効になる可能性が特許に比べて高いことと、権利の保護期間が短いことです。

次の「実用新案の質問相談」では、出願手続・申請費用・提出書類・手続期間といった実用新案制度に関し、よくあるご質問について当特許事務所弁理士がご説明しています。あわせてご参照ください。

実用新案のメリットとデメリット
メリット デメリット
早期に保護される 無効の可能性が高い
費用が低額である 保護期間が短い

中川特許事務所

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