PAGE TOP ▲

PAGE TOP ▲

著作権法の保護対象

著作権法の保護対象|中川特許事務所|東京・神奈川・横浜の著作物・作品の著作権を保護するための手続の代行、著作権法に関する調査、著作権の管理、契約仲介、紛争解決、輸入差止を代行する神奈川県横浜市の弁理士事務所

特許事務所は、著作物・作品に関する著作権の保護に関する各種の手続を代理・代行する弁理士事務所です。当特許事務所は、著作権法に関する業務として、著作権の調査・著作権の管理・契約書の作成・侵害鑑定業務・紛争解決業務・輸入差止手続・輸出差止申請・著作権の相談も実施しています。著作権法に関するご相談・お問い合わせをお気軽にお寄せください。

著作物の4つの要件

著作権法」は、著作物、実演、レコード、放送、有線放送などさまざまなものを保護しています。著作権や著作者人格権によって保護されるためには、お客様の作品が著作権法の定める「著作物」でなければなりません。著作物に該当するためには、以下の4つの要件を全て満たしている必要があります。

著作物の1つ目の要件は「思想または感情が含まれていること」です。思想や感情とは私たちの「考えや気持ち」のことです。要するに人間の精神的な活動によって生み出されたものでなければなりません。よって、以下の5つのものは思想や感情が含まれていないため、著作権法上の著作物に該当しません。

自然物
例)植物、動物、鉱石など
人間以外の動物が作成したもの
例)チンパンジーが描いた絵
コンピュータが自動的に作成したもの
例)ソフトウェアがランダムに作成した楽曲
人間が無意識のうちに作成したもの
例)カメラマンが転んだ際にシャッターが切れて撮影された写真
定型的なフォーマット
例)手紙の書き出しに「拝啓」と記述すること
著作権法の保護対象|中川特許事務所|東京・神奈川・川崎の著作物・作品の著作権を保護するための手続の代行、著作権法に関する調査、著作権の管理、契約仲介、紛争解決、輸入差止を代行する神奈川県横浜市の弁理士事務所

著作物の2つ目の要件は「表現されていること」です。著作物というためには、他人が作品を感じ取れる程度にそれが具体的になっていなければなりません。逆にいうと、作品が作者の頭の中にしか存在しない状態では著作権法上の著作物とはいわないのです。

一方、著作権法は著作物の要件として表現が何らかの媒体に記録されていることを要求していません。よって、CDなどに録音されている音楽も、録音されなかった即興音楽も著作物に該当します。

また、著作権法は、著作物の要件として作品が完成されていることを要求していません。例えば漫画でいうと、本に掲載されている完成した漫画も、制作途中のラフスケッチも著作物に該当します。

そして、作品の一部であっても著作物に該当する場合があります。例えば4コマ漫画でいうと、4コマからなる作品全体が著作物に当たるのは当然ですが、1コマだけ抜き出した場合でも著作物に当たる場合があります。

一方、アイデアは著作権法では保護されません。例えば漫画でいうと、腕白に描かれているキャラクターの絵は著作物に当たりますが、ガキ大将といったキャラクターの性格は著作物に当たりません。

著作権法の保護対象|中川特許事務所|東京・神奈川・藤沢の著作物・作品の著作権を保護するための手続の代行、著作権法に関する調査、著作権の管理、契約仲介、紛争解決、輸入差止を代行する神奈川県横浜市の弁理士事務所

著作物の3つ目の要件は「創作性があること」です。要するに作者の「個性」が作品に現れていることです。よって、作者がプロであるかアマであるか、大人であるか子供であるかは、著作権法上の著作物に当たるかどうかを判断する際にまったく問題にならないのです。

一方、画集に掲載するために絵画を正確に撮影した写真のような「既存の著作物の模倣」、円の面積の求め方のような「不可避的な表現」、あるいは履歴書の定型的なフォーマットのような「ごくありふれた表現」は、創作性がないため著作物に該当しません。

著作物の4つ目の要件は「文芸・学術・美術または音楽の範囲に含まれること」です。これは著作権法で保護される著作物とは、広く文化的な作品であることを意味しています。したがって、4つの分野のうちのどれに含まれるかを検討する必要はありません。そうすると、特許法・実用新案法・意匠法で保護されるような「実用品」や「工業製品」は著作権法では保護されないのです。

基本的種類の著作物

上記のような著作権で保護される著作物には、以下の9種類の基本的な著作物があります。ただし、これはあくまでも著作権法上の例示にすぎません。漫画のようにここで列挙されていない作品であっても、上記の著作物の要件を満たしていれば、著作権法上の著作物に該当します。

言語の著作物
言語体系」により思想や感情が創作的に表現されている著作物のことです。日本語、英語、ドイツ語といったいかなる言語体系を用いて表現されているかは問題になりません。小説のように文書で存在するもの、講演のように口述されるもの、手話のようなその他のかたちがあります。
音楽の著作物
」で思想や感情が創作的に表現されている著作物のことです。クラシック、ポピュラー、ジャズといった音楽のジャンルや、人の声、楽器、コンピュータといった音の出し方は問題になりません。
舞踏または無言劇の著作物
身振り・手振りなどの「人の身体の動き」を通して、振付けによって思想や感情を創作的に表現した著作物のことです。例えば、日本舞踊、バレエ、ダンス、パントマイム(無言劇)などが該当します。
美術の著作物
形状・色彩・線・明暗などにより「」を通じて思想や感情を創作的に表現した著作物のことです。絵画、彫刻、版画のような純粋美術のほか、壺や陶芸茶碗のような美術工芸品(応用美術)も含まれます。
建築の著作物
建造物や工作物」によって思想や感情を創作的に表現した著作物のことです。宮殿といった各種建物のほか、庭園や公園などが該当します。
著作権法の保護対象|中川特許事務所|東京・神奈川・横須賀の著作物・作品の著作権を保護するための手続の代行、著作権法に関する調査、著作権の管理、契約仲介、紛争解決、輸入差止を代行する神奈川県横浜市の弁理士事務所
図形の著作物
図形」で思想や感情が創作的に表現されており、学術的な性質を備えている著作物のことです。地図や設計図といった二次元的な作品のほか、地球儀や模型といった三次元的な作品も含まれます。
映画の著作物
固定された連続する映像」によって思想や感情が創作的に表現されている著作物のことです。劇場用映画だけでなく、ホームビデオなども含まれます。映画の著作物は他の著作物とは異なり、フィルムやディスクなどの何らかの媒体に記録されていなければなりません。
写真の著作物
連続しない映像」によって思想や感情を創作的に表現した著作物のことです。被写体が何であるかは問題になりませんから、風景写真も肖像写真も写真の著作物に該当します。
プログラムの著作物
コンピュータに対する命令」の組み合わせのうち、創作的に表現されたもののことです。一方、プログラム言語、規約、解法はアイデアに該当する部分ですから、著作権法上の著作物に該当しません。

特殊な種類の著作物

著作権法で保護される著作物には、上記の9種類の著作物以外に4種類の特殊な著作物があります。

二次的著作物
もとの著作物を翻訳し、編曲し、もしくは変形し、または脚色し、映画化し、その他翻案することで創作された著作物のことです。例えば、X氏が執筆した小説αをY氏がコミカライズした漫画βは小説αの二次的著作物に当たります。その際、Y氏はX氏にコミカライズの許諾を得なければなりません。
編集著作物
素材の選択や配列によって創作的に表現された編集物のことです。素材が著作物であるか否かは問題になりません。よって、素材が著作物である編集物(例、絵画が素材の絵画全集)も、素材が著作物でない編集物(例、電話番号が素材の職業別電話帳)も、いずれも編集著作物になり得ます。
データベースの著作物
情報の選択や体系的な構成によって創作的に表現されたデータベースのことです。編集著作物と同様に、素材が著作物であるか否かは問題になりません。法令集データベースや電話帳データベースなどが該当します。
著作権法の保護対象|中川特許事務所|東京・神奈川・茅ヶ崎の著作物・作品の著作権を保護するための手続の代行、著作権法に関する調査、著作権の管理、契約仲介、紛争解決、輸入差止を代行する神奈川県横浜市の弁理士事務所
共同著作物
1つの著作物を創作する意思のもと複数の人間が協力して創作した著作物のことです。それぞれが創作した部分を分離して利用できない点が特徴です。例えば、X氏とY氏が協力して描いた1枚の絵画が該当します。一方、X氏が作曲しY氏が作詞した歌謡曲(結合著作物)や、第1章をX氏が第2章をY氏が執筆した書籍(集合著作物)は、それぞれ分離して利用できるため共同著作物に該当しません。

その他の保護の対象

著作権法は、著作物以外にも以下の4種類のものを実演家人格権や著作隣接権で保護しています。

実演
著作物を演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、またはその他の方法により演じるもののことです(例、演劇の上演・楽曲の演奏)。また、これらと似たような行為であって、著作物を演じるものではないけれども、芸能的な性質を備えるもの(例、手品・ピエロ・物真似)も含まれます。
レコード
音を固定した媒体のことです。媒体の種類は問わないため、音が吹き込まれていればいかなる媒体でもレコードに該当します。また、吹き込まれている音も問わないため、音楽以外の音(例、自然音)が吹き込まれているものもレコードに該当します。ただし、映画はレコードに該当しません。
放送
公衆によって直接受信されることを目的とする送信のうち、同時に同じ内容の送信が公衆に受信されることを目的として行う無線通信による送信のことです。TV放送、ラジオ放送、衛星放送などが該当します。
著作権法の保護対象|中川特許事務所|東京・神奈川・平塚の著作物・作品の著作権を保護するための手続の代行、著作権法に関する調査、著作権の管理、契約仲介、紛争解決、輸入差止を代行する神奈川県横浜市の弁理士事務所
有線放送
公衆によって直接受信されることを目的とする送信のうち、同時に同じ内容の送信が公衆に受信されることを目的として行う有線通信による送信のことです。CATV放送や有線音楽放送などが該当します。放送と有線放送の違いは、送信を無線で行うか有線で行うかの点だけです。

著作権などの取得者

著作権法は「無方式主義」を採っているため、著作物であれば創作、実演なら演技や歌唱、レコードなら録音、そして放送や有線放送といった一定の行為を行えば、著作権などによる保護を開始します。

つまり、特許庁に対する手続や登録が必要な特許権・実用新案権・意匠権・商標権とは異なり、著作権法による保護を受けるためには文化庁に対する申請や出願などはいっさい必要ありません。また、書籍などに見られる著作者名の表示や著作権者を示すⒸマークのような各種の表示も、著作者として推定されるといったメリットはありますが、著作権法による保護を受けるための要件ではありません。

そうすると、著作者などが著作権法上の権利を自動的に保有することになるため、誰がその作品の著作者なのかが問題になります。「著作者」とは、著作物を創作する者のことです。よって、以下のような者は、作品の制作に関与はしていますが、著作物を創作したとはいえないため、著作者には該当しません。

補助者
例)漫画家Xの指示に従って着色を行っただけのアシスタントA
助言者
例)漫画家Xに筆遣いや色遣いをアドバイスした別の漫画家B
依頼者
例)漫画家Xにイラストの制作を依頼した出版社C
後援者
例)漫画家Xに資金や画材を提供した出版社D
著作権法の保護対象|中川特許事務所|東京・神奈川・海老名の著作物・作品の著作権を保護するための手続の代行、著作権法に関する調査、著作権の管理、契約仲介、紛争解決、輸入差止を代行する神奈川県横浜市の弁理士事務所

著作物を公表するか否かなどを決定する著作者人格権や実演家人格権は他人に譲渡することができません。一方、出版するか否かなどを決定する著作権や著作隣接権は売買や相続といったかたちで、他人に移転することができます。また、権利者は自らの作品の利用を他人に許諾することができます。

特許事務所弁理士は、上記のような著作物・実演・レコード・放送・有線放送・出版権といった著作権法の保護対象について、契約書の作成、調査鑑定業務、紛争解決手続を専門にしています。著作権法の保護対象か否かについてのご質問は「弁理士への質問相談」よりお気軽にお問い合わせください。

著作権法による保護を受けるためには文化庁で登録を受ける必要はありません。しかし、文化庁で著作権などを登録することで著作権法上のメリットがあります。次の「著作権の登録の制度」では、そのメリットについて当特許事務所の弁理士がご説明しています。あわせてご参照ください。

中川特許事務所

電話:045-651-0236

所在地:〒231-0006 神奈川県横浜市中区南仲通3-35 横浜エクセレント3 5階E号室

営業区域:横浜、川崎、横須賀、鎌倉、藤沢、茅ヶ崎、平塚、小田原、大和、海老名、厚木、相模原、神奈川、東京