「商標法」は、商標権によって商標に蓄積された信用を保護するための法律です。そうすると、特許庁に出願を行って商標登録を行うためには、まず、お客様の商標(ブランド)が商標法の定める「商標」でなければなりません。商標に該当するためには、以下の4つの要件を全て満たしている必要があります。
商標の1つ目の要件は「標章」に該当することです。標章とはマークまたは目印のことですが、商標法では「人間の知覚によって認識できるものであって、文字、図形や記号、立体的形状もしくは色彩またはこれらの結合、音、その他のもの」と定義されています。
そうすると、以下の10種類のマークが商標として取り扱われることになります。一方、匂い、味、触感などは、海外では商標として取り扱われることもありますが、日本では商標として取り扱われていないため、商標登録を受けることができません。
- 文字商標(例、文字から構成されている商標)
- 図形商標(例、企業や団体などのキャラクター)
- 記号商標(例、自動車に付いているエンブレム)
- 立体商標(例、店頭に設置されている人形)
- 色彩のみからなる商標(例、企業のシンボルカラー)
- 結合商標(例、文字と図形を組み合わせた商標)
- 音商標(例、TVCMなどで用いられる短い音楽[ジングル])
- 動き商標(例、TVCMなどで用いられる短い動画)
- ホログラム商標(例、商品券に用いられる偽造防止のホログラム)
- 位置商標(例、衣服に付いているタグ)
商標の2つ目の要件は「業として」使用することです。つまり、商標というためには、会社や団体の名称、菓子などの商品やレストランのようなサービスに用いられるブランドのように、一定の事業目的をもって継続的に使用するマークでなければならないのです。
したがって、フリーマーケットやお祭りに出店する屋台に用いるお店の名称といった極めて短期間しか使用されないマークは商標に該当しないので、特許庁で商標登録を受けることはできません。このような短期間しか使用されない商標には信用が蓄積されないからです。
商標の3つ目の要件は、商品の生産・証明・譲渡を行う者が使用している「商品商標」、または役務(サービス)の提供・証明を行う者が使用している「役務商標」(サービス・マーク)に該当することです。
例えば、商品「菓子」に用いる商品は商品商標であり、役務「飲食物の提供」に用いる商標は役務商標に当たります。「菓子」と「飲食物の提供」の両方に用いるのであれば、商品商標と役務商標の両方に該当します。