商標権を取得するための「費用」として、まず、特許庁に支払う「官公庁費用」がかかります。この費用は、特許庁における商標登録の手続について、特許事務所や弁理士にその代行を依頼せず、お客様ご自身で行われる場合であってもかかる費用です。
官公庁費用としては出願料と登録料の2種類の特許印紙代がかかります。まず、「出願料」とは特許庁に対して商標登録の出願を行うための費用であり、その金額は3,400円+(商品・役務の区分の数×8,600円)です。出願料は、商標登録出願と同時に特許庁に支払います。
区分とは、特許庁が定める商品または役務(サービス)のグループのことです。例えば「パン」に関する商標を出願する場合、「パン」は「第30類」という区分に含まれています。この場合、区分は1つなので、出願料は3,400円+(1区分×8,600円)=12,000円になります。
したがって、複数の商品または役務に関する商標を出願する場合であっても、それらが同じ区分に含まれる商品または役務であるならば、特許印紙代に変わりはないのです。
例えば「パン」と「お茶」に関する商標を出願する場合、「パン」も「お茶」も「第30類」という一つの区分に含まれますから、この場合も出願料は3,400円+(1区分×8,600円)=12,000円になります。
一方、複数の商品または役務に関する商標を出願する場合に、それらが2つ以上の異なる区分に含まれる商品または役務になるときは、特許印紙代は増額になるので注意してください。
例えば「パン」と「缶詰」に関する商標を出願する場合、「パン」は「第30類」ですが「缶詰」は「第29類」です。そうすると、出願料は3,400円+(2区分×8,600円)=20,600円になります。
次に、「登録料」とは特許庁で商標権を取得するための費用です。登録料は、特許庁の審査官から商標登録を認める旨の登録査定が送られてきてから、30日以内に納めなければなりません。
商標権は、特許庁で商標登録を行ってから10年間維持することができる権利です。10年分の登録料を納める場合、登録料の金額は商品・役務の区分の数×32,900円になります。そうすると、商標権を取得するための最低限の官公庁費用としては、(出願料)12,000円+(登録料)32,900円=(合計)44,900円かかることになります。
ただし、商標法は「分納制度」を採用しているため、10年分の登録料ではなく、5年分の登録料を納めることもできます。この場合、登録料の金額は、商品・役務の区分の数×17,200円になります。5年分の登録料を納付する場合、商標権を取得するための最低限の官公庁費用として、(出願料)12,000円+(登録料)17,200円=(合計)29,200円かかることになります。
商標権は、特許権・実用新案権・意匠権とは異なり、10年毎にその存続期間を更新することができます。しかし、存続期間の更新を行って商標権を維持するためにも、特許庁に登録料を支払わなければなりません。商標権を維持するための登録料の金額は、以下の表のとおりです。商標権を更新するときにも、10年分または5年分の登録料を納めることができます。
商標権の取得や商標登録の維持に必要な官公庁費用の詳細につきましては、特許庁のウェブサイト「産業財産権関係料金一覧」(別のウインドウで開きます)もあわせてご参照ください。