特許権・実用新案権・意匠権・商標権・著作権といった各種の知的財産権を侵害する商品・製品・物品について、日本への輸入を差し止めるための費用と、外国への輸出を差し止めるための費用は同様です。よって、以下では輸入差止の費用にまとめて当特許事務所の弁理士がご説明します。
まず、各種の知的財産権に基づいて、模倣品・偽ブランド商品・海賊版などの輸入差止申立てまたは輸出差止申立てを税関に対して行うにあたっては、特許出願のような官公庁費用はかかりません。
しかしながら、輸入差止の対象とされる貨物が各種の知的財産権を侵害する商品でなかった場合に、輸入者が受ける損害を担保する必要があります。そのため、税関は輸入差止の申立人に対して相当の金銭を「供託」するように命じる場合があります。
具体的には、申立人は税関長から以下の費用を合算した金額を税関長が指定する供託所まで供託するよう命じられることがあります。
- 輸入者が申立人から輸入差止の申立てを受けることで被る損害の金額
- 知的財産権の侵害とされる輸入貨物を税関倉庫に保管するための費用
- 生鮮貨物は腐敗による損失が予想される貨物の課税価格に相当する額
- 上記以外で輸入者が輸入の差止によって被るおそれのある損害の金額
もし、税関長から上記のような供託を命じられたにもかかわらず、申立人が指定の供託所に供託金を供託しない場合、税関長は輸入貨物が知的財産権を侵害する否かを認定する手続を取り止めます。当然ながら、最終的に輸入貨物が申立人の保有する各種の知的財産権を侵害する商品であることを税関長が認定した場合には、それは正当な知的財産権の行使ですから、申立人は供託金を取り戻すことができます。